日本財団 図書館


 

うことを紹介することも重要と思います。例えば郊外に移転したキャンパス等では、シャトルバスを運行せざるを得ませんが、授業料と一緒に払い込みましょうとか、必要な場合はマイカーでもよいですよ、その場合には、年何回までとか、学校の駐車場を有料にして普段の時には使わないようにするというような工夫がそれぞれに企業単位というか組織単位でできるのではないでしょうか。
そこに事業者が手伝うというTDMという交通需要マネジメントの一貫だと思いますが、そういう目で見てみると、我々は何気なく特別な配慮をしないで車を使うということを少し考えてみるきっかけを与えるような啓発の仕方が随分あるような気がします。

 

●藤田コーディネーター

 

議論の中で先程ちらっとでてきて落ちていましたのが、交通弱者の問題です。お年寄りや過疎地の住民の足についても若干議論していく必要があろうかと思います。福井さん、交通弱者の問題については、どのような問題意識をお持ちでしょうか。

 

●福井先生

 

最近は元気の良いお年寄りが増えていますし、高齢化社会といいましてもそうそう悲観するものでもないというように思いますが、でも100歳になってもマイカーが運転できるかといいますと、本人も怖いだろうと思います。ところが意外に乗りつづけるケースもあるようです。それは結局、他にそれに代わる便利なバスシステムがないから怖々乗っているというお年寄りもいるのではないでしょうか。交通事故に結び付かない訳でもないので、ある程度の公共福祉の立場としてのバスネットワークを地方都市・中小都市でも欲しいと思っているのではないでしょうか。
大都市圏でバリバリ働いて、老後を迎えた時に本当は田舎に帰ってお墓を守りたいとか、年老いた両親と何年か過ごしたいとかいうような人は沢山いますが、地下鉄や便利な公共交通に慣れた人達が鉄道やバスもない鄙びた田舎に帰ることを諦めてしまうという状況も窺えます。人間らしい暮らし、ライフスタイルを意外にバスが発達していないということで削いでしまっているということもあると思います。その点が大きい点で意外に見落されている点だと思います。
お年寄りへの配慮という点では、デマンドバスのようなもっと小型なもの、タクシーのバンみたいなものの方が良いのではないかと思います。バスというとコストもかかるし、運転手の人件費も随分と大きい訳ですから、住宅地での高齢者の乗り降りを介護しなくてはという場合にはバンのような形式でも良いではないかと思います。

 

●藤田コーディネーター

 

太田さん、先程の発言で床の低いバス、低床バスのことを仰っていましたが、日本ではあまり台数は増えていない、普及がいまいちという感じがしますが、どういう事情だとお思いですか。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION